東北大学 地球環境物理講座

研究室の紹介

研究方針

大気・水圏の地球物理学のうち、現在最も重要な主題の一つは、大気・海洋・陸面が相互作用をする系において起こっているいろいろな時間スケールの変動の実態を把握し、その変動の仕組みを解明し、そしてその予測の可能性を追求することです。海洋物理学分野の目標は、そのうち海洋が本質的に関わる部分の研究を推進することです。
この主題の具体的な対象は、海と大気との間で交換される運動量や熱フラックス、海洋混合層過程、エルニーニョ/南方振動(ENSO)イベントを含む太平洋全域もしくは全球的に海と大気・陸面とが相互作用する大規模過程、亜熱帯モード水を中心とする表層水塊の変動など、広範囲にわたっています。そのアプローチも、研究船による海洋観測・篤志観測船による海洋モニタリングをはじめとし、既往資料の解析、数値モデルによる研究と多岐にわたります。地球流体力学ではその理論的な側面を追求します。特に強調することは、海盆規模の大循環を見据えた視点で、また、海洋に与える強制の場としての大気の大規模・長期スケールの研究をも含めて推進することです。
本研究室のかかわる一連の研究分野において、教員・学生はそれぞれ自分の得意な手法を活かす中心的な研究課題を持ちながらも、互いにオーバーラップしてグループ全体の活動が発展していくといった姿を理想としています。

主要研究テーマ

  1. Argoデータなどによる水塊の形成、サブダクション、移動と分布、混合・消滅の過程の研究。主な対象水塊は亜熱帯モード水、中央モード水、中層水など。
  2. 資料解析・大気モデル実験による中緯度海域での大気海洋相互作用過程の研究
  3. エルニーニョ現象や太平洋十年規模変動などの物理メカニズムの研究
  4. 地球温暖化に伴う海洋の変化とその気象・生態系への影響評価

研究室在籍者・在籍時の受賞

  • 杉本周作:東北大学泉萩会 森田記念賞 (2022年度)
  • 須賀 利雄:気象庁長官表彰 (2021年度)[詳細情報
  • 花輪 公雄:気象庁長官表彰 (2021年度)[詳細情報
  • 花輪 公雄:海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞) (2020年度)
  • 飯田瑞生(M2):日本海洋学会秋季大会 学生優秀発表賞(口頭発表部門)(2019年度)
  • 飯田瑞生(M2):日本海洋科学振興財団海外渡航援助プログラム(2019年度)
  • 宮木涼汰(B3):平成30年度青葉理学振興会奨励賞(2018年度)
  • Tong Wang(M2):日本海洋学会秋季大会 学生優秀発表賞(口頭発表部門)(2018年度)
  • 山口凌平(D3):日本海洋学会秋季大会 学生優秀発表賞(ポスター部門)(2018年度)
  • 山口凌平(D2):日本海洋学会秋季大会 学生優秀発表賞(ポスター部門)(2017年度)
  • 須賀 利雄:日本海洋学会賞(2017年度)
  • 海洋物理学分野:海上保安庁長官表彰(2016年度)[詳細情報
  • 金久保雅刀(B4):東北大学総長賞(2015年度)
  • 山口凌平(M2):第9回6専攻合同シンポジウム 優秀ポスター賞(2015年度)
  • 杉本 周作:日本海洋学会岡田賞 (2015年度)
  • 川上雄真(M1):日本海洋学会秋季大会 ベストポスター賞(2013年度)
  • 柴田優(M1):東北大学GCOE  Best Student Poster Award(2012年度)
  • 瀬尾康晴(M1):日本海洋学会秋季大会 ベストポスター賞(2012年度)
  • 柴田優(M1):日本海洋学会秋季大会 ベストポスター賞(2012年度)
  • 遠山勝也(D3):青葉理学振興会賞(2009年度)
  • 杉本周作(D2):青葉理学振興会賞(2006年度)
  • 齊藤寛子(D3):International Workshop Student Poster Award(2006年度)
  • 堀井孝憲(D2):CLIVAR Conference Student Good Poster Award(2004年度)
  • 長谷川拓也(D3):青葉理学振興会賞(2003年度)
  • 安中さやか(D2):黒田チカ賞(2002年度)
  • 上原裕樹(D3): WOCE & BEYOND Conference Student Poster Award(2002年度)
  • 花輪 公雄:日本海洋学会賞(2000年度)
  • 須賀 利雄:日本海洋学会岡田賞(1997年度)

卒業生・修了生の就職先(最近10年間)

大学等

釜山国立大学 (ICCP)

官庁・地方公共団体・法人等

海上自衛隊、気象庁、水産研究・教育機構

私企業等

NECソリューションイノベータ、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、国際石油開発帝石、新日鉄住金ソリューションズ、ソフトバンク株式会社、東京ガス、TDSE株式会社、日本アイ・ビー・エム、日本無線、日本郵船、日本ユニシス、北陸ガス、三井情報、三井住友銀行、明治乳業

研究室の沿革

地球環境物理学講座は、1994(平成6)年度に大学院重点化によって新設された大学院専担の講座です。地球物理学専攻では、本講座を大規模な大気と海洋の相互作用を解明する立場の研究を推し進めることで、地球環境の物理学の発展に貢献することとしました。このため、旧海洋物理学講座は一旦流体地球物理学講座(旧気象学講座との大講座)に編入しましたが、同年11月に当時の教授・助教授が配置替えとなり、現在の地球環境物理学講座が正式に発足しました。
旧海洋物理学講座は,本地球物理学教室4番目の講座として1971年に新設されました。地球物理学教室内の海洋物理学講座としては、京都大学(1921年)、東京大学(1942年)についで全国3番目の講座です。講座発足以来の担任であった鳥羽良明教授(東北大学名誉教授)は1994年3月に定年退官され、その後を引き継いだ花輪公雄教授は2012年4月に東北大学理事として転出され、同年4月より現在の須賀が担当しています。

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